僕のもとに集まる「一見普通だけれど生きづらい」人たち【吉濱ツトム】
隠れアスペルガーという才能 〜「アスペルガー症候群」とは何か?
◾️アスペルガーの約7割は「隠れアスペ」
なぜこのような人たちが、僕のもとを訪れるのでしょうか。
それは、彼らがとても大きな「生きづらさ」を抱えているから。一見するとごく普通の、あるいはそれ以上の能力をもっているのに、なぜかいつも人生につまずいてしまう。周りの人とギクシャクする。人前に出るとドキドキが止まらず言葉が出なくなる。なにをやっても自信がもてず、自分の無能を責めてしまう。このように、何をやってもうまくいかず、「生きづらい」と感じている人たちが、「なんとかしたい」という切実な思いで僕のオフィスを訪ねるのです。
こういう人たちが精神科を受診したところで、「アスペルガー症候群」だという診断は下りません。しかし、確実にアスペの症状をもっている。
実は、アスペルガーには診断名がつく人のほかに、アスペルガー症候群という診断までは出ないもののある程度の症状が見られる、グレーゾーンに位置する人たちがたくさんいるのです。診断がつくアスペ(本書では、「真性アスペ」と呼びます)と比べれば、全体に症状が軽かったり、症状に偏りがあったりします。診断テストを受けると、ある部分はバッチリ合致するけれど、他の部分は当てはまらない。そのため、明確にアスペルガー症候群だとは診断されず、本人もそうとは気づきません。
隠れアスペルガーには繊細で頭の良い人が多いだけに、うまく周りと合わせている場合も多々あります。当然、周りの人もアスペであるとは気づきません。しかし、本人はわけのわからない生きづらさを誰にも言えず、長年苦しんでいるのです。ある意味、真性アスペより悩みが深いのが、この隠れアスペだといえるでしょう。
この僕の経験から言うと、この「隠れアスペ」は、アスペルガー全体の、少なくとも7割を占めています。
(『隠れアスペルガーという才能《新装増補版》』から抜粋)
◾️吉濱ツトム よしはま・つとむ
発達障害カウンセラー 。幼い頃より自閉症、アスペルガーとして悩み、長期間にわたる「ひきこもり」を経験。悲惨な青春時代を歩むが、長期アスペルガーとして悩み、自ら発達障害の知識の習得に取り組み、あらゆる改善法を研究し、実践した結果、数年で典型的な症状が半減。26歳で社会復帰。以後、自らの体験をもとに知識と方法を体系化し、カウンセラーとなる。同じ症状に悩む人たちが口コミで相談に訪れるようになり、相談者数は2000人を超える。現在、個人セッションのほか、教育、企業、医療、NPO、公的機関からの相談を受けている。著書に『アスペルガーとして楽しく生きる』(風雲舎)、『発達障害の人のための上手に「人付き合い」ができるようになる本』(実務教育出版)、『今ひきこもりの君へおくる 踏み出す勇気』(KKベストセラーズ)などがある。
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